気温がぐんぐん上がる夏が近づいてくると、毎年のように増えるのが「スマホが熱くて持てない」「パソコンがすぐ落ちる」「ゲーム機がフリーズする」といった熱(高温)に関するトラブルです。スマートフォンやパソコン、ゲーム機といった精密機器は、私たちが思っている以上に「熱」に弱い存在です。真夏の車内や直射日光の下、長時間のゲームや動画視聴などによって内部温度が上がりすぎると、性能が一気に低下したり、最悪の場合は故障やバッテリーの膨張・発火につながることもあります。この記事では、神奈川県を中心に全国から郵送修理を受け付けている「修理のキクチ」が、夏に多発するデバイスの熱トラブルについて、原因・症状・自分でできる対策・修理の判断基準まで、まるごと徹底的に解説します。これから本格的な夏を迎える前に、ぜひ最後まで読んで愛用のデバイスを守る知識を身につけてください。
なぜ夏になるとスマホやパソコンの故障が増えるのか
夏にデバイスの故障や不調が増える最大の理由は、ずばり「気温の高さ」と「内部発熱」のダブルパンチにあります。スマートフォンやパソコン、ゲーム機の内部には、CPUやバッテリーといった発熱する部品がぎっしり詰まっています。これらの部品は動作するだけで熱を生み出しますが、通常はその熱を空気中に放出することで一定の温度を保っています。ところが外気温が35度を超えるような猛暑日には、放熱がうまくいかず、内部の熱がこもりやすくなってしまうのです。
特に注意したいのが、リチウムイオンバッテリーです。現在ほとんどのスマホ・タブレット・ノートパソコン・ゲーム機に使われているこのバッテリーは、熱に非常にデリケートで、高温環境にさらされ続けると急速に劣化が進みます。一般的にリチウムイオンバッテリーの適正な動作温度は0〜35度前後とされており、これを大きく超える環境で使い続けると、バッテリーの寿命が縮むだけでなく、内部でガスが発生して膨張したり、ごくまれに発火・破裂といった重大事故につながることもあります。夏場のトラブルが「ただ動作が遅くなる」だけで済まないのは、こうした安全面のリスクがあるからなのです。
さらに、夏は私たちのデバイスの使い方そのものも変わります。プールや海でのレジャー、屋外フェスやキャンプ、夏休みの長時間ゲームなど、デバイスを過酷な環境で長く使うシーンが一気に増えます。高温・直射日光・長時間使用という三拍子が揃うことで、一年の中でも夏は圧倒的に熱トラブルが起きやすい季節になるのです。
スマホ・パソコンの「熱暴走」とは何か

「熱暴走(ねつぼうそう)」という言葉を聞いたことがある方も多いと思いますが、これは内部温度が上がりすぎたデバイスが、自分自身を守るために性能を強制的に制限したり、安全のために動作を停止したりする現象を指します。決してデバイスが「壊れて暴れている」わけではなく、むしろ「これ以上熱くなると危険だから、いったんブレーキをかける」という、いわば自己防衛の仕組みが働いている状態です。
具体的には、CPUやGPUといった頭脳にあたる部品が高温になると、デバイスは自動的に処理速度を落とします。これを「サーマルスロットリング」と呼びます。処理速度を落とすことで発熱を抑えようとするため、結果としてアプリの動作がカクカクになったり、ゲームの画面がガクガクと引っかかったりするのです。それでも温度が下がらない場合には、画面が暗くなったり、充電が一時的に止まったり、最終的には電源が落ちて自動的にシャットダウンすることもあります。
この熱暴走の状態を繰り返していると、たとえその場では電源を入れ直して使えたとしても、内部部品やバッテリーには確実にダメージが蓄積していきます。「少し休ませたら直ったから大丈夫」と油断していると、知らないうちにバッテリーの劣化が進み、ある日突然電源が入らなくなる、というケースも珍しくありません。熱暴走はデバイスからの「悲鳴」であり、放置せずに原因を取り除いてあげることが大切です。
熱トラブルが起きているときの主な症状
自分のデバイスが熱によるダメージを受けているかどうかは、いくつかの分かりやすいサインで見分けることができます。以下のような症状が出ていたら、熱トラブルが起きている可能性が高いと考えてよいでしょう。
本体が異常に熱くなる
もっとも分かりやすいサインが、本体の発熱です。手で持っていられないほど熱い、背面やカメラ周りがやけどしそうなほど熱を持っている、といった場合は要注意です。特に充電しながら動画を見たりゲームをしたりすると、発熱が一気に高まります。
動作が急に遅くなる・カクつく
前述のサーマルスロットリングによって、アプリの起動が遅くなったり、画面のスクロールがカクついたり、ゲームのフレームレートが落ちて映像がガクガクになったりします。普段はサクサク動くのに、暑い場所で使ったときだけ重くなるなら、熱が原因の可能性が高いです。
勝手に電源が落ちる・再起動する
温度が危険域に達すると、デバイスは安全のために自動でシャットダウンします。使っている最中に突然画面が消えたり、再起動を繰り返したりする場合は、内部がかなりの高温になっているサインです。
充電ができない・充電が遅い
多くのスマホには、高温時にバッテリーを保護するため充電を一時停止する機能が備わっています。「充電器に挿しているのに充電されない」「いつもより充電が極端に遅い」という場合、本体が熱くなりすぎて充電がストップしている可能性があります。
バッテリーの減りが異常に早い
熱によってバッテリーが劣化すると、満充電にしてもあっという間に残量が減るようになります。また、熱を持っている状態では電力消費そのものも増えるため、夏場だけ妙にバッテリーの持ちが悪い、と感じることもあります。
画面の表示がおかしくなる
高温の影響で、画面に黒いシミのようなムラが出たり、色合いがおかしくなったり、表示が乱れたりすることがあります。これは液晶や有機ELパネルが熱に弱いために起こる現象です。
絶対にやってはいけないNG行動
夏のデバイス管理では、「良かれと思ってやったことが、かえって故障の原因になる」というケースが少なくありません。ここでは、特にやりがちで危険なNG行動を紹介します。
炎天下の車内に置きっぱなしにする
夏のNG行動の代表格が、これです。真夏の車内は、わずか数十分で50度から70度以上に達することもあります。この温度はリチウムイオンバッテリーにとって致命的で、放置しただけでバッテリーが膨張したり、二度と起動しなくなったりすることがあります。「ちょっとそこまで」のつもりでも、デバイスは必ず車内に置かず、持ち歩くようにしましょう。
急に冷やそうとして冷蔵庫や保冷剤に入れる
熱くなったスマホを早く冷やしたい一心で、冷蔵庫や冷凍庫に入れる、あるいは保冷剤に直接当てる方がいますが、これは絶対にやめてください。急激な温度差によってデバイス内部に「結露」が発生し、水滴が基板をショートさせて、熱トラブルどころか水没と同じような故障を引き起こします。冷やすときはあくまで自然に、風通しの良い日陰で休ませるのが鉄則です。
熱いまま充電を続ける
本体が熱を持っている状態での充電は、発熱をさらに加速させ、バッテリーへの負担を大きくします。熱いと感じたら、まずは充電を中断し、本体の温度が下がってから充電を再開しましょう。
分厚いケースをつけたまま酷使する
耐衝撃性の高い分厚いケースは落下からは守ってくれますが、放熱を妨げてしまう側面もあります。夏場に長時間ゲームをするときなどは、一時的にケースを外して熱を逃がしてあげるのも有効です。
iPhone・iPadの熱対策と注意点

iPhoneやiPadは、内部温度が一定以上になると「温度が上がっています iPhoneを使用するには、本体温度が下がるまでお待ちください」という警告画面を表示することがあります。この画面が出たら、それ以上無理に操作しようとせず、素直に電源を切って涼しい場所で休ませてあげましょう。Appleは、iPhoneの動作に適した周囲温度を0〜35度としており、これを超える環境での使用は推奨していません。
iPhone・iPadで特に発熱しやすいのは、ナビアプリを使いながらの充電、高画質ゲームの長時間プレイ、4K動画の撮影、そして直射日光の当たる場所での動画視聴です。これらを夏場に行うときは、こまめに休憩を挟む、明るさを下げる、不要なバックグラウンドアプリを終了するといった工夫で発熱を抑えられます。
また、熱によってバッテリーが劣化したiPhoneは「設定」→「バッテリー」→「バッテリーの状態と充電」から最大容量を確認できます。この数値が80%を下回っていると、夏の発熱とあいまって電源が落ちやすくなります。劣化が進んでいる場合は、夏本番を迎える前にバッテリー交換をしておくと安心です。
Android(Galaxy・Pixel・AQUOS)の熱対策
Androidスマホも基本的な熱対策はiPhoneと共通ですが、機種によって発熱の傾向や対策機能に違いがあります。たとえばGalaxyシリーズには発熱を抑える「冷却モード」的な設定があったり、Pixelは高負荷時にカメラ機能が一時的に制限されたりすることがあります。AQUOSをはじめとする国内メーカーの機種は、放熱設計に力を入れているモデルも多くあります。
Android全般に共通する対策としては、画面の明るさを自動調整にする、使っていないアプリをこまめに終了する、省電力モードを活用する、ウィジェットや常駐アプリを減らす、といった方法が効果的です。また、ゲームをよくプレイする方は、スマホに取り付けるクリップ式の冷却ファン(スマホクーラー)を使うのもひとつの手です。
Androidでも、熱によるバッテリー劣化は深刻な問題です。バッテリーがパンパンに膨らんで背面パネルが浮いてきている場合は、非常に危険な状態ですので、すぐに使用を中止して修理店に相談してください。膨張したバッテリーを放置すると、画面を押し上げて割ってしまったり、発火の原因になったりします。
パソコン(ノートPC・デスクトップ)の熱対策
パソコンもまた、夏の熱トラブルが非常に多いデバイスです。特にノートパソコンは、薄い筐体の中に部品が密集しているため放熱が難しく、夏場は内部に熱がこもりがちです。パソコンが熱くなると、動作が遅くなる、ファンが爆音で回り続ける、突然シャットダウンする、ブルースクリーンが表示される、といった症状が現れます。
パソコンの熱対策で最も重要なのが、「吸気口・排気口をふさがないこと」です。ベッドやソファ、布団の上でノートパソコンを使うと、底面の通気口がふさがれて熱がこもり、一気に高温になります。必ず硬く平らな机の上で使うか、ノートパソコン用の冷却台(クーリングパッド)を使いましょう。
また、長年使っているパソコンは、内部のファンやヒートシンクにホコリがたまって放熱性能が落ちていることがあります。エアダスターで通気口のホコリを吹き飛ばすだけでも、冷却効果がかなり改善します。それでも改善しない場合や、内部清掃に自信がない場合は、無理に分解せず専門店に相談するのが安全です。デスクトップパソコンの場合も、背面や底面のファン周りのホコリを定期的に掃除することで、夏の安定動作につながります。
ゲーム機(PS5・Switch)の熱対策
夏休みは、子どもも大人もゲーム機を長時間使う季節です。PS5やNintendo Switchといったゲーム機は、グラフィック処理のために大量の熱を発生させるため、夏場の熱対策は欠かせません。
PS5は本体内部に大型のファンを備えていますが、それでも設置場所によっては排熱がうまくいかず、熱がこもってしまいます。テレビ台の密閉された棚の中に押し込んだり、背面を壁にぴったりつけて置いたりすると、排気が妨げられて高温になります。本体の周囲は最低でも10センチ程度の空間を確保し、風通しの良い場所に設置しましょう。「ファンがいつもより大きな音で回り続ける」「本体が熱い」と感じたら、設置環境を見直すサインです。
Nintendo Switchは、ドックに挿した状態でのプレイ時に特に発熱しやすくなります。任天堂も、本体の動作に適した温度を5〜35度としており、高温環境での使用や充電は故障の原因になると注意喚起しています。携帯モードで長時間遊ぶ場合も、直射日光の当たる場所や、布団の中などこもりやすい場所での使用は避けましょう。Switchのバッテリーが膨張して本体が浮いてきた、画面が変色した、といった症状が出たら、熱による劣化が進んでいる可能性が高いので早めの修理がおすすめです。
今すぐできる!夏のデバイス熱対策まとめ
ここまで紹介してきた内容をふまえ、誰でもすぐに実践できる夏の熱対策を整理しておきましょう。まず大前提として、直射日光の当たる場所や高温になる場所(車内・窓際・屋外のテーブルなど)にデバイスを放置しないことが基本中の基本です。
使用面では、長時間の連続使用を避けてこまめに休憩を入れる、画面の明るさを下げる、使っていないアプリを終了する、熱いと感じたら充電を中断する、といった習慣が効果的です。また、分厚いケースを一時的に外して放熱を助ける、ノートパソコンは冷却台を使う、ゲーム機は周囲に空間を確保する、といった物理的な工夫も大きな効果があります。
そして見落とされがちなのが、「劣化したバッテリーは熱に弱い」という点です。すでにバッテリーが劣化しているデバイスは、夏の高温と相まってトラブルを起こしやすくなります。夏本番を迎える前に、バッテリーの状態をチェックし、必要であれば交換しておくことが、もっとも効果的な熱トラブル予防策と言えるでしょう。
梅雨明けは「熱」と「湿気」のダブルリスクに注意
初夏から真夏にかけては、熱トラブルだけでなく「湿気」にも注意が必要な季節です。梅雨どきの高い湿度はデバイス内部に結露を生じさせることがあり、そこへ夏の高温が加わると、内部の腐食やショートといった故障のリスクが一段と高まります。特に、エアコンの効いた涼しい室内から蒸し暑い屋外へデバイスを持ち出したときなど、急激な温度差がある場面では結露が起きやすくなります。
また、汗による水分の侵入も夏ならではのトラブルです。ポケットに入れたスマホが汗で湿ったり、運動中に充電端子へ汗が入り込んだりすると、端子の腐食や充電不良の原因になります。汗をかいたあとは、充電する前に端子周りをやわらかい布で軽く拭き取る習慣をつけるとよいでしょう。「熱対策」と「湿気・水分対策」はセットで意識することで、夏のトラブルを大きく減らすことができます。
もし「水に濡れてしまった」「汗で充電できなくなった」という場合は、自分で電源を入れて動作確認をするのは厳禁です。通電によってショートが進み、被害が拡大してしまうおそれがあります。電源を切ったまま、できるだけ早く修理店に相談するのが、デバイスを救う一番の近道です。
こんな症状が出たら修理を検討しよう
自分でできる対策をしても改善しない、あるいは明らかに異常な症状が出ている場合は、無理に使い続けず専門店での修理・点検を検討してください。特に以下のような症状は、放置すると危険だったり、被害が拡大したりするおそれがあります。
まず、バッテリーが膨張して本体が膨らんでいる、背面パネルや画面が浮いてきているという場合は、非常に危険なサインです。膨張したバッテリーは発火・破裂のリスクがあるため、すぐに使用を中止して修理店に相談してください。次に、涼しい場所で十分に休ませても電源が入らない、起動してもすぐに落ちてしまうという場合は、内部の部品やバッテリーが熱でダメージを受けている可能性があります。
また、熱を持ったあとから画面の表示がおかしくなった、タッチが効かなくなった、充電が一切できなくなった、といった症状も、内部の故障が疑われます。こうした症状は、時間が経てば自然に直るものではなく、むしろ使い続けることで悪化することがほとんどです。早めに専門店で診断を受けることで、結果的に修理費用を抑えられたり、大切なデータを守れたりすることも多いのです。
よくある質問(FAQ)
Q. スマホが熱くなったら、すぐ電源を切ったほうがいいですか?
A. はい、本体が熱いと感じたら、いったん電源を切って涼しい日陰で休ませるのがおすすめです。使い続けると発熱がさらに進み、バッテリーや内部部品へのダメージが蓄積してしまいます。ただし、冷蔵庫で急冷するのは結露の原因になるので絶対にやめてください。
Q. 熱暴走を繰り返すと、本当に壊れてしまいますか?
A. 一度や二度の熱暴走ですぐ壊れるわけではありませんが、繰り返すとバッテリーの劣化や部品の損傷が進みます。「休ませれば直るから大丈夫」と放置せず、根本的な使い方や環境を見直すことが大切です。
Q. 夏だけバッテリーの減りが早い気がします。劣化でしょうか?
A. 高温環境では電力消費が増えるため、夏は一時的に減りが早く感じることがあります。ただし、すでにバッテリーが劣化している場合は、夏の高温でさらに持ちが悪化します。バッテリーの最大容量が80%を下回っているなら、交換のタイミングと考えてよいでしょう。
Q. 冷却ファン付きのスマホグッズは効果がありますか?
A. クリップ式の冷却ファン(スマホクーラー)は、長時間のゲームや動画視聴時の発熱を抑えるのに一定の効果があります。ただし、結露のリスクがあるペルチェ式の強力な冷却タイプは使い方に注意が必要です。基本はやはり、高温環境を避ける・こまめに休ませることが大切です。
Q. パソコンのファンがうるさいのは故障ですか?
A. ファンの音が大きいのは、内部が高温になっていて冷やそうとフル回転しているサインです。多くの場合、通気口のホコリ詰まりや設置環境が原因です。掃除や設置場所の見直しで改善しないほどの異音や、回りっぱなしの状態が続く場合は、ファン自体の故障も考えられるので点検をおすすめします。
Q. 遠方に住んでいても修理を頼めますか?
A. はい、修理のキクチでは全国どこからでも郵送修理を受け付けています。お近くに修理店がない方や、忙しくて店舗に行く時間がない方でも、ご自宅から手軽に修理をご依頼いただけます。
まとめ:夏を迎える前に、デバイスの熱対策を
夏は一年の中でも、スマホ・パソコン・ゲーム機といった精密機器にとって、もっとも過酷な季節です。気温の高さに内部発熱が加わることで、熱暴走による動作の不調や、バッテリーの劣化・膨張といったトラブルが一気に増えます。大切なのは、「直射日光や高温の場所を避ける」「長時間の連続使用を控える」「熱いときは無理せず休ませる」という基本を徹底し、急冷や車内放置といったNG行動をしないことです。
そして、すでにバッテリーが劣化しているデバイスは、夏のトラブルを起こしやすい状態にあります。夏本番を迎える前にバッテリーの状態をチェックし、必要であれば早めに交換しておくことが、トラブルを未然に防ぐもっとも確実な方法です。もし熱によって電源が入らない、画面がおかしい、バッテリーが膨らんでいるといった症状が出てしまったら、無理に使い続けず、お早めに修理のキクチへご相談ください。大切なデバイスを、安心して夏も使い続けられるよう、私たちが全力でサポートいたします。
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